カラスウリの花

その1

カラスウリが生け垣に絡んでいるよ。
生け垣がやられてしまうよ。
根っこを探して、抜いてしまわねば。

根っこのあたりを掘っていくと、
あるわ、あるわ、カラスウリの芋。
がっちり地面に食い込んで
掘り出すのも一苦労。

夏の終わりが近づくと、
緑色の実がいくつも付いて、
そして、オレンジ色に変わっていく。
ああ、この種が、またまた子孫を増やしていく。

そんな話をしていたら、
「カラスウリなの、いいじゃない。欲しいなあ」
と声掛けられた。
「そんなのいくつでも上げるよ」
と、芋をいくつか持ってった。

こんなもの、欲しいなんて、ずいぶん物好きだなあ。


その2

犬を散歩に連れて行くときのこと。
花弁がまるでレースのような、
可憐な可憐な花を見た。
いったいなんていう花なんだ。
いつか写真に撮っておこう。

暑い暑い真昼どき、
よし、写真を撮りに行こう。
勇んで出たが、はなびらは

まるでかわいい赤ちゃんが、
手をぎゅっと握りしめたよに、
小さな塊になっていた。


その3
「**さんのお宅では、カラスウリの花が満開です」
ある夕方のニュースでは、
庭に咲いたカラスウリの花が、話題になっていた。
その花を見た瞬間、
ええっ? あれがカラスウリ?
我が家の生け垣を苦しめたものと、
あの可憐な白い花が、妙な形でドッキング。

ええっ? あれがカラスウリ?

ああ、それならば、欲しいという人の気持ちも分かる。


TOPへ